マジック・エンジェルほたる

 有紀は心の中で、フイに、「いいなぁ。私も…お友達がほしいなぁ。…あんな風に楽しくお喋りをしたり、遊んだり、並んで歩いたり……お勉強したり…図書館にいったり……心の悩みだとか夢や哲学なんかを一緒になって「お話し」できたら…どんなに素敵頭。でも…私には……」
 と寂しく呟いて、瞳を曇らせた。…でも、私にはムリ。だって…”ひととお話しする能力”が生まれつきないんだもの……。
 そんな暗くトボトボと歩く有紀の背後、かなり遠くの道路に蛍と由香がいた。ふたりは、そんな有紀の後ろ姿をジッと同情をこめた瞳でながめてから、しばらくして、
「有紀ちゃんってさぁ。…本当に、噂どおり”お友達”がひとりもいないのかなあ?」
「うーん、なんか…そうみたいねぇ。………可哀相な有紀ちゃん。まるで…シンデレラみたい」
 由香の呟きに、蛍は「でもさぁ。シンデレラってさぁ…。魔法使いのオバアさんに魔法をかけられて、お城にいって王子様と踊って…幸せになるってお寓話(はなし)よねぇ?」「まあね。…ちょっと”硝子の靴をおとしたり””カボチャの馬車に乗ったり””靴があうかどうかためされたり”っていうエピソードが抜けてるけれど……そうよ」
「へへへ…・じゃあさぁ。あたしたちが”魔法使いのオバアさん”になっちゃうっていうのは?!」
「魔法使いの”お馬鹿さん”じゃないの?あんたは」蛍は由香の皮肉を無視して、「私たちが魔法使いのオバアさんになって、孤独なシンデレラこと黒野有紀ちゃんにパッパッって魔法をかけてさぁ…明るく幸せにしてあげんのよぉ!!」
「まさか、レインボーなんとかで有紀ちゃんを攻撃するとか?」
「(無視して)…さぁ、いこう!有紀ちゃんを幸せにしてあげようよっ」
 蛍はそう宣言して元気よく駆け出した。