マジック・エンジェルほたる

「……」有紀は少し驚いた様子で、静かに蛍の手をみつめた。そして、ドキドキとして胸を押さえた。彼女は、一度ならず二度までもそんな風に親しく声をかけられたことに興奮していた。ーこの子は…あら?お名前は…?!
 だが、有紀はほとんど何の感情も顔には現さなかった。いや、その大きな大きな瞳には、嬉しさと興奮と恐れが混じったようなきらきらした光が輝いてもみえる。
「……。」有紀は上目遣いで不安気な表情のまま、視線を蛍の顔瞳へとゆっくりと動かした。なんとなく有紀の可愛らしい肩や手足が少しだけ震えてもみえた。
「……あのぉ。あなたはどなた…?どんな、お名前でしたかしら?」有紀は微かな声を発した。しかし、やはり蚊の鳴くような微かな声であったため、蛍にはきこえなかった。
「へへへぇ、有紀ちゃんもテストで悪い点とって…先生に呼び出されたんでしょう!?」
 蛍は魅力的な笑顔で冗談をいった。
「…くすっ。」有紀は微かに、口元に笑みを浮かべた。そして、「あの、その……あなたの「お名前」を教えていただけないかしら?」
 と、オドオドと囁くようにいった。
「……え?何?今、なにかいった?」
 ほんの微かではあるが、蛍は有紀の声をきいた…ような気がした。
「……え?え?え?」蛍はふらふらと立尽くしている黒野有紀の口元に、静かに耳を近付けた。そして、「……あの有紀ちゃん。悪いんだけどさぁ、もう一度、大きな声でいってくれる?」と明るくお願いした。
「……だから…そのぉ。」有紀はやっと声をささやいた。「……あなたのお名前を教えて頂けるかしら?」
「……あぁ。名前っ!私の名前か?!」ほたるはニヤニヤと笑ってから、「私の名前は、青沢蛍よ!年は有紀ちゃんと同じ。趣味は、少女マンガとアニメをみること。そして、好きな食べ物はコロッケとエビフライと苺ケーキとカレー・