マジック・エンジェルほたる

「雨が吹く訳ないでしよ。風よ風!」
「……風邪?あのセキのでる病気の…?」
「バーカね」由香はそう冗談めかしに明るくいってから、もう一度、空の青を見上げた。「まぁ、みてらっしゃいよ。私の絵をおとした連中にも世界中の人々にも……この由香ちゃんのアーティステックなタレントってもんをみせつけてやるんだから!」
 由香は傲慢にではなく、素直に可憐な微笑みを口元に浮かべながら宣言した。
「タレント…って?由香ちゃんってば…いつから芸能人になったっていうのさぁ。…歌でも出したっけ?」
「……馬鹿じゃないの!!」由香はナイーヴ(無邪気)な皮肉屋らしい口調で蛍にいった。「タレントっていうのは才能って意味なの。これはフランス語ね」
 彼女はそういって不思議そうな蛍の肩にそっとふれて笑った。
 …ちなみに、タレントというのは、フランス語でもドイツ語でもなく「英語」である。


 VOL・3 ”秀才少女”有紀に、蛍が、お勉強で挑戦?!
          マジックエンジェルブラック覚醒


  蛍が一人でトボトボと暗い夜道を歩いていると、突然、ガラスがガシャアンと激しく割れる音と「ほ…蛍ちゃん、食べておくれよ!!」という叫び声が辺りに響き渡った。彼女が驚いて振り返った瞬間、草原がブウウァッリッと『カスタード・クリーム』の海と化した。「なによ?!」トランプの兵隊たちに連行されていく大勢の『イチゴ・ケーキたち』が断末魔の悲鳴を上げながらラビュリンス(迷宮)の扉の中へと消えていく。それは蛍がかつてアニメでみた”不思議の国のアリンス”にも似ていた。
 …皆、私に食べてもらいたいと願ってるのにっ……きっと悪い奴らの所に連れていかれてパクパクやられちゃうんだわ!!もおっ、そうはさせるもんですか!!苺ケーキちゃん達!「あああっ!」彼女は小さな悲鳴を上げて飛びのいた。彼女の大好物の『カレー・コロッケ・パン』君が家畜のように引きずられていくのを目撃したからだ。カレー・コロッケ・パン君は何度かパクつかれたのか、顔中が穴だらけだった。これじゃあ、食べれないよ! 愕然と立ち尽くしていた蛍は、キッとした表情になり、