あの通り…の蛍は、パペットと化した宝林から必死に逃げまわっていた。が、その姿はあまりにも滑稽である。まるで負け犬…いや三流コメディアンのようだ。
「もおっ!やだ、やだ、やだ、やだ、来ないでってばさぁっ!!」
蛍はそう涙声で叫ぶと「アタッ」と転んだ。…なによっ、なんで私だけこんな目に…?!「あははは…はやいとこそこの「お馬鹿さん」を殺しちゃいなさい!」フィーロスは笑った。
そんな時、
「スットップッよ!」
という、ちょっとイントネーションの間違った英語(STOP)が響いた。少女の猛々しい声。…もちろん声の主は、赤井由香だ。フィーロスとパペットは動きをとめ、声のした方角へ振り返った。
マジックエンジェルの由香は悠然とプリマ・ドンナのようにたって、
「ドント・ストップ!……じゃなくて…ストップ・アクション!もしくは…フリーズよ!この私が来たからには…もう悪いことをすることは許さないわよ!!罪を認めて私の前で堂々と謝罪しなさい!」と、正義の味方らしい口調で宣言した。
そして、戦闘体制に入った。
フィーロスはほんの一瞬、何がフリーズよ!何が謝罪よ!また”お馬鹿さん”が一匹増えたみたいね…と立ち尽くした。まぁ、いいわ…二匹とも殺してやるから!
フィーロスはニヤリと笑って由香と対峙し、
「地獄へ落ちなさい!お馬鹿さん」
と、両手から炎剣を矢継ぎ早に放って攻撃を開始した。由香はその攻撃を間一髪かわして、「うあぁっ!」と悲鳴をあげて転んだ。グアァッ、と近くの床や壁が爆発する。
「あ、由香ちゃん!由香ちゃん!」
負け犬の蛍は、心配して叫んだ。


