マジック・エンジェルほたる


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「由香ちゃん、大丈夫?!しっかりするのよ!」
 セーラは倒れ込んでいる由香に近付いて、少し泣きそうになりながら呼び掛けた。そして、じっと由香の顔を覗きこんだ。とてもきらきらとした表情をしている。
「う……痛たた…」しばらくして、由香は微かにうなって、全身を小刻みに震わせ、荒い息を何度もついた。…生きてるわ!
 妖精は「ま、待っててね、由香ちゃん。いま、楽にしてあげるから……!!」と同情を込めた口調でいった。そして、「タターナ…」と声のトーンをおとして、燐とした表情をして左手の人差し指を天にかざして、
「タターナ・ラーマヴァーナ・アンダージュ・パ・ダクシオン!!」
 と、”慈愛の神タターナそして天空の神ラーマヴァーナよ…癒しの風を与え給え”という意味の呪文を可愛らしい声で唱えた。すると、セーラの人差し指からきらきらと輝く癒しの風が吹いて由香の体を包み込んだ。やがて由香は瞳を開けて、
「…ううん。う……あ、あれっ?!」そんな風に驚いて、ゆっくりと起き上がった。そして、不思議そうに自分のからだを舐めまわすように視線を走らせた。「…な、なんで?!どこも痛くないし、傷もない。血もでてないわ!」
「由香ちゃん!」セーラは不思議そうに立ち尽くしている由香に熱心な口調でいった。
「あなたに出来るかどうかわからないけど…封印用のお札を渡すわ!」
「…?封印って何?!」
 妖精は質問には答えずに燐とした顔で右手を頭上に伸ばして、「ラマス・ハパス…」と呪文を可憐な声でとなえた。すると、次の瞬間、セーラの右手から赤い閃光が四方八方に飛び散った。
「な、なんなの?!」
 由香は思わず眩しくって瞳をぎゅっと閉じた。そして、しばらくしから目を開けると、「さぁ、由香ちゃん。…このお札を手にもってみて」と、セーラが微笑みながら右手に持った赤色のお札を差し出した。