マジック・エンジェルほたる

「…アターック!」
 すさまじい稲妻が放たれて魔の女王ダンカルトにぶちあたった。虹いろの閃光が飛び散り、辺りは眩しい光で包まれた。「ぐあぁぁあっ」
 辺りが暗くなり、明るくなり、すぐに大爆発を起こした。…妖精は爆風に吹き飛ばされ、気を失った。クレムリン宮殿は大爆発を起こし、すべてが、紅蓮の炎に包まれていった。 こうして世界中に散らばっていた亡霊たちも姿を消し、災いも去った。希望が勝利したのだ。伝説の戦士マジック・エンジエルが人類を救ったのだ!そのかけがえのない生命を投げうって…。

  ロシア・コロニーの天気はかわりやすい。どんよりした雲が辺りを包むようにたれこめ、やがてざあぁっと雨がふりだした。宮殿は廃墟と化し、炎の名残か、煙りが漂ってはきえていった。コンクリートの床に倒れていた妖精セーラは瞳をゆっくりと開けて「螢ちゃんは…?」と空中に飛んで探した。「螢ちゃーん!螢ちゃーん!」
 爆炎でやられたのか怪我をし、羽根もボロボロでふらふらする。やがて、セーラは彼女を発見した。「ほ、螢ちゃん、無事だったのね!」
 螢は両膝を地につき、ガクリと肩を落として下を向いている。傷だらけで、服はボロボロで赤い血が染みついている。彼女は落ち込んでいた。暗いふちにいた。絶望の中にいた。「…皆…死んじゃったよ…。最後に…力を貸して…くれた…けど。もう皆は…生き返…らないん…だよ。…由香ちゃん…も…有紀ちゃんも…美里ちゃんも…。もう…お話することも…笑いあうことも…なにもないんだよ…。…あたし…ひとりぼっちに…なっちゃった…。さびしいよ。…私…そんなに強くなんてないもん……みんながいないなんて嫌だ…よ。願いが叶うっていったっしょ? なら……みんな……罪のないみんなを生き返ら…せて」
 涙が目を刺激して、そして涙が頬を伝わって幾重も手の甲へきらきらと輝きながら落ちた。冷たい雨が、螢と妖精に打ちつける。
「…あ。」セーラは思わず息をのんだ。