「…あ、あの…その……」
有紀は恥ずかしくなって下を向いた。
「そうさぁ!」美里は突然、開き直ったように明るくいった。そして続けて、「あたしはさぁ、有紀ちゃんが大好きなんだっ!」
と情熱的にオーバー・アクションで叫んで有紀の両肩をバッと握って引き寄せた。
「あ!え……あ……あの…」有紀は何だか分からずに驚いて声を出した。”可愛らしくておとなしい文学美少女”の黒野有紀はそのあと、恥ずかしくってドキドキした。
有紀の可愛らしい大きな大きなおとなしい瞳の奥も、ちいさなちいさなピュアな唇もドキドキと震えた。だって、美里がキスしようと唇を近付けてきたからだ。…え?!
「…あ……あぁ…」
有紀はついうっとりとした顔をして、瞳を陶酔気味にゆっくりゆっくりと閉じていた。そして、可愛らしい可憐で純粋なピンク色の唇をそっと突き出していた。…美里の唇と有紀ちゃんの唇が触れてしまう。有紀ちゃんのファースト・キッス?しかも女の子と…。
しかし、その次の瞬間、
「あははは…っ」
という螢や由香、美里の馬鹿笑いが響いた。それに気付いて有紀は瞳をあけて、三人の笑い顔をジッとみた。
「あははは…。有紀ちゃんっ、まさかマジ(本気)でキスしようと思ったの?私と?」
「うーん、有紀ちゃんってさぁ、誰でもよかったって訳っしょ?例え相手が女の子でも」「でもファースト・キスだからさぁ…やっぱ男の子としたいわよね。でも…有紀ちゃんは特別だから…本とキスするとか、女の子とキスするとかの方があってるわね」
三人は嫌味ではなくてカラカラと大笑いした。
「…な、なによっ。もおっ。馬鹿にしてーっ!」
有紀ちゃんは恥ずかしさで頬を真っ赤にしながら怒鳴っていた。…………


