マジック・エンジェルほたる


  美里は螢たち三人を自宅に案内した。和洋折衷のあの成金豪邸にである。
 部屋の中。リビングの中のきらきらと輝くシャンデリアや高そうな家具やペルシャ絨毯やグランド・ピアノなどに三人は目がクギづけになったように眺めた。
 例によって金に弱い螢はかなり興奮して顔を紅潮させて瞳をきらきらと…まるで一昔前の少女マンガの主人公のように輝かせた。ベルサイユなんとか…みたいに。
「あ、お菓子でも食べるかい?」
 美里の言葉にすぐ反応して、「もちろん!」とふたりは元気に明るくいった。当然、有紀ちゃんは遠慮したという訳だったが、別に彼女だって「お菓子」が嫌いな訳ではない。やっぱり女の子な訳だから甘いものは好きなほうだ…。
 美里は「あ、英さん。あのフランスのお菓子あったでしょ?あれ、持ってきてくれる?それと紅茶もお願いね」と白髪の老人に愛嬌たっぷりにお願いした。
 しばらくして、黄江健三郎がムッツリとした岩のような顔のまま歩いてきた。そして、「そのひとたちは?」
 と冷たい口調で尋ねた。美里は、自分の友達であること、食事でも御馳走したいと思っていること、などを告げた。
 しかし、螢たちの挨拶などを無視して、冷血漢の顔のまま「お前にしては、珍しく友達が出来たようだな。だが…みるからに出来の悪そうな娘たちじゃないか。こんな娘たちと付き合うのは止めるんだ!おまえにはこんな平民じゃなくて……もっと上流階級の人間こそふさわしい」
 と吐き捨てるように言った。
 螢と由香はムッとした。有紀はあまりの言葉に、驚愕して蒼ざめて黙りこんだ。
「ちょっと、おやじ!なんてこというんだ!!」
 美里は怒鳴った。
 健三郎は何も動じなかった。美里は父に近寄って、癇癪をすべて父に向けたが、健三郎の瞳は北極海より冷たかった。「うるさい、親に反論するなんて、十年はやいんだ」と怒鳴った。「わかったな?!その娘たちは追っ払え!」
 黄江健三郎はそのまま冷酷な表情のまま姿を消すように歩き去った。
「…このぉ。」美里は下唇を噛んだ。ああいう人間は美里にとって軽蔑こそすれ、尊敬できるものではない。もちろん同じ部屋て同じ空気をすっているのも嫌だ!