マジック・エンジェルほたる

 格闘家にありがちな男の魅力が漂っている。
 宮木先輩…。美里は宮木武蔵と目があって、思わず頬を赤くした。恥ずかしかった。…美里は、宮木先輩のことが好きだったのだ。
 でも、それは片思いだし、告白した訳でもない…いや恥ずかしいくって出来ない。恋というより憧れに近い。恋に恋するセンチメンタル・ガール…じゃないけど美里はやっぱりウブなのだ。
「…宮木先輩…かっこいいなぁ。私のさぁ…恋人とかになってくれたらなぁ……。無理かなぁ?やっぱり男のひとって女の子らしい方が好きなんだろうしなぁ。でも…なぁ」
 美里は遠くの方で黙々と練習している宮木先輩の姿を恥ずかしそうに頬を赤くして、ぽーっとしながら独り言を呟いていつまでも見つめていた。いつまでも…いつまでも…練習もしないで。
   午後の下校路には、純粋な恋愛小説とは無縁の青沢螢と赤井由香、純文学にだけ登場するような黒野有紀の三人がいた。そして、仲よく並んで歩いていた。ほんわりとした天気だった。すべてを包みこむような。いい天気だ。
「あははは…やっぱりっしょ?だと思ったんよ」
「何がやっぱりっしょ…なの?まだ何も話してないわよ。何だとその足りない頭で思ったの?」
「……もおっ。ドラマとか(の脚本)でよくあるじゃんよ。説明をはぶいていきなり台詞からはいるっ…あのパターンよ。…それぐらいアドリブきかせてよね、由香ちゃん」
「……わかったわよ。…でしょ?だから言ったのよ。由香ちゃんのいった通りでしょ?」「何をいったんだっけ?」
「馬鹿じゃないの?!……じゃあ、あれ知ってる?」
「知らないっしょ。」
「まだ何もいってないでしょっ!!……あ、こらっ。無視してスタスタ歩いていかないでよ。おいてかないでよぉ」
 螢は由香と有紀をほおっておいて元気いっぱい駆け出した。そして満点の笑顔で、