マジック・エンジェルほたる



   美里の通う「緑川高等学校」は青山町学園とはそんなに遠い訳ではない。そして緑川高校は金持ち学校でもなく、女子校でもない。平凡な高校である。
 緑川高校の制服は女子が茶色のセーラ服で男子が紺の学生服だが、そんなことはどうでもいい。
  美里は一年B組の教室でも孤独であった。同級生たちは遠巻きに彼女の悪口を囁いていたが、美里は無視した。でも、その瞳は、悲しげで、涙こそ流さないがすぐにこわれそうなはかないものだった。
 彼女はフト、校舎の窓から外を眺めた。
「…なんで人間ってさぁ。あんなに悪口が好きなんだろう?…私って…これからどうなるんだろう?」
 美里はひどく落ち込んだまま心の中で呟いた。彼女は地平線の向こうを見つめるような、風に飛ばされそうなはかない目をした。誰もがいままでみたことのないくらい、ゾッとするような凍った表情だった。
「……」美里はただ不安になって、気が遠くなりそうな長い間、一歩も動けずに立ち尽くしていた。

  午後だ。緑川高校では平凡な学校らしく部活動に力をいれている。部活で今人気なのはサッカーだ。バスケやテニスも人気がある。卓球も昔よりは部員が増えた。
 まぁ、学生たちの部活の話しをしていても仕方ないので、話を黄江美里に戻そう。
 美里は女子更衣室で空手着に着替えて、白帯をキュッと締めた。黒帯ではないのは、たんに最近カラテ部に入部したからで、彼女はストリート・ファイトで慣らした訳だから喧嘩は弱くない。
「よし、気合いいれていこう!」
 美里は眉をキッとしてそう自分に喝を入れると、空拳を一撃してからスキップするよう