「て、てめえ」
「このアマっ、殺してやる!」
男四人がポケットから手を出すと、パシッと飛びだしナイフの刃が光った。もう一人がいつの間にかトカレフ(旧ソ連製拳銃)を手にもっている。
「そんなもん振りまわさなきゃ、ケンカも出来ないの?!なさけない連中だねぇ」
美里はそうタンカをきった。すざまじい意気だったるすべてを壊してしまうような…。「そうだ!そうだ!!」
「いいぞネェちゃん!やっちまえ」
通りかかったヤジ馬たちがはやしたてた。
螢たちは息をのんで美里をみつめていた。あれじゃあ、大怪我しちゃうよっ。
「このアマーっ!」
男達はナイフを構えて彼女に襲いかかった。もうひとりがトカレフの銃口を向ける。
ーもうダメよ!螢達が思わず目を閉じた時、バキッ!ドスッ!、という妙な音が聞こえてきた。と、あっという間に男達はふっ飛んでゴミ箱に首をつっこんでグッタリとなった。 なおも逃げようとする男を、美里は蹴り倒した。「ふん、口ほどにもないねぇ」
うあっ、と見物していた人々から喚声と拍手がわいた。しかし、
「すげえな」
「…あれでも女かよ」という悪意に満ちた陰口もすぐに広がった。螢たちは信じられない様子で美里を見つめて言った。
「やるーっ!まるで女ブルース・リーみたい」
三人は顔をみあわせてから興奮した。
「あ。」美里はふと螢たちの存在に気付いて振り向いた。そして、黒野有紀を発見した。「こんにちは、美里ちゃん」有紀は優しく微笑んで頭を下げたが、美里は何も答えず、笑顔ひとつみせずに三人に背をむけて歩き始めた。悠々としてそれでいて可憐な足どり。 「なにっ?有紀ちゃん、あの子、知ってんの?」
「えぇ。美里ちゃん。黄江美里ちゃんよ」
「ミ・サ・ト……ちゃん?」
「香西かおるが大好きなのよ」
「誰それ?」


