マジック・エンジェルほたる



  成長などしない二人組は相変わらずだった。二か月連続で遅刻して、宿題もやってこないために、両手に水バケツを持たされて廊下にたたされていた。ここは、青山町学園の螢たちの教室の前の廊下だ。ふたり組とは当然、螢と由香だ。もう授業も終わって、午後の小休みの時間。
「…ちょっと、みせもんじゃないわよっ」
「そうそう。私たちのことをジロジロみなくてもいいからっ!!どこかでマンガでも読んでてよねっ。月刊少女ジャンプ特大号のぶ厚いのっ」
「……学校にそういうぶ厚いマンガ雑誌もってくんのはあんただけだってば」
「…そう?でも由香ちゃんだって、絵のかいてある本もってくるじゃんよぉ。同じようなもんじゃんよ」
「……マンガ絵とアート(美術)をいっしょにしないでよ!」
「…もおっ、みるな!!見物するなら”お金”置いてってよねっ」
 ふたりは顔を真っ赤にして恥ずかしそうにヤジ馬に叫んだ。と、「うるさい、馬鹿!だまって立っとれ、青沢螢、赤井由香っ……殺すぞ!!」
 神保が素早くやってきて、ふたりに怒鳴った。そして、まったく、ニガ虫を噛んだような顔をしてそのまま歩き去った。
「うるっさいのよ!…あんたなんて私たちの”レインボー”と”ハリケーン”で殺してやるんだから」と舌を出して聞こえないように螢はいった。
「…くすっ。ふたりとも相変わらずね」ふたりの姿をみて有紀が素直に笑った。そして可憐な足取りで二人に近付いた。
「あ…有紀ちゃん」二人は嬉しい時の声、つまり第二の声を出した。そして「あ、あの、その……この状態はねっ…そう!私たちは防火運動の担当でさぁ…それで水バケツを」
 と、苦しい弁明をした。有紀はほほえんで、