マジック・エンジェルほたる


  ふたり組はまったく情なかった。アラカンの氷剣の攻撃を必死にかわしながら逃げ回ってピヨンピョンと兎のように跳ねまわっていた。
「うあっ、ちょっと!やっぱりさぁ…」
「な、何っ?あっ、きゃあ、何が…いいたい…のよ!?…きゃあ」
「あたしさぁ…こんなストーリーのヒロイン嫌だよ!…うあっ、きゃあ!…もっと…恋愛小説の可憐で可愛らしい主人公…きゃあ!……とかさぁ」
「……あんたには……きゃあ!…うあっ!…無理ね。そういう少女対象のラブ・ストーリーってキャラじゃないもん!…うあっ!……あんたはギャグ小説とかコメディのキャラな訳…いやっ!…よ」
「それって由香ちゃんでしょ?…きゃあ!」
「…うあっ!……なんですって?!…きゃ!…そんなことばかりいってるとあんたの大嫌いなタコヤキとピ」
 二人は足を滑らせて「いたっ」と大きく転んだ。なによっ、本当に私たちって正義の味方な訳?ずいぶんな待遇じゃないの。…訴えるわよ!
「くくく…虫けらめ、殺してやる!!」アラカンはニヤリと冷たく笑みを浮かべた。
 と同時に、
「お待ちなさい!そこのゲシュタポのような服を着た方!!超能力でスプーンを曲げるのなら許されるけど、氷の剣を放ってひとに怪我をおわせようとするなんて……許せないわ」 有紀の可愛らしい声が響いた。
「なにっ?!」とアラカンは彼女のほうを向いた。
 マジックエンジェルの有紀はゆらゆらと可憐な少女らしく立って、
「とにかく私がお巡りさん(警察官)にかわってせっかんしてあげるわ」と宣言したと同時に、キッとした顔をして、両手を大きく広げて「ブラックーッ!」と叫んだ。続けて、両手の掌を胸元のかなり前まで突き出して、「スモーク!!」と大声で全身の力をこめて叫んだ。お札から黒豹のような「黒いけむり」が目にもとまらぬ速さできらきらと黒色に輝きつつアラカンに向かって放たれた。空間を走る黒豹!
「うああっ」