「くそっ、この娘もトゥインクル・ストーンの持ち主ではない!」
アラカンは顔をしかめ、太い眉をさかだてて吐き捨てるようにいった。やがて、有紀の胸元から放たれていた黒色の閃光は輝きを失い、そしてフウッと音もなく消えた。
アラカンは「殺してやる」と低い声でいうと彼女の首根っこを力強く締め付け始めた。「う…ぐぐ…」このままでは有紀が締殺されてしまう。
「う、くそう!…どうしたら……」螢と由香は驚愕して立ち尽くしていた。あまりのシュチエーションに恐ろしくなって動きがまったくとれなかった。戦慄!恐怖…脆弱な精神…。 その時、子犬が必死に、アラカンに体当たりをくらわせた。その攻撃は弱々しいものだったが、それでも当たりどころがよかったのか、アラカンは衝撃で有紀から手を放した。なおも子犬は攻撃しようとアラカンを威嚇するようにうなった。
「ダメよ!逃げるのよ」有紀はごほっごほっとセキ込みながら子犬に叫んだ。
この犬っころが!!アラカンは憤慨して子犬を右足で蹴りとばした。きゃいん、と鳴いて、犬は壁に激突して地面に倒れこんだ。
「ワンちゃん!」有紀は弾かれたように倒れた子犬のそばに駆け寄った。
「な、何やってるのっ?!螢ちゃん、由香ちゃん、「封印」よ!お札で戦うのよ!!」
いままで姿をけしていた妖精セーラがふたりの背後から猛スピードで飛んできて、慌てた口調で叫んだ。
「……そ、そうね」二人は決心したようにいうと、お札を前にかざして「お札よ、魔物を封印せよ!」と燐とした声を発した。


