でも、こういう『内助の功を発揮するタイプ』の女の子が一番好ましいのかも知れない。螢みたいなのでは……ちょっと。…
「あ、マズイ!もうこんな時間だよっ」突然、腕時計に視線をむけた美里が、慌てた声を出した。そしてバッと席から立ち上がった。「マズイよ、マズイよ、マズイよ!」
と周章狼狽してジダンダをふんだ。そして黙りこんでから「マズイよ、間に合わないよ」あえぎあえぎ言葉を出した。
「あ…あの……何に?」
美里がポケットに手を突っ込んで、財布をとりだした。別にブランドものじゃなくて、黒色の皮製の安物だ。美里は指先に細心の注意をこめて、やはり慌てふためきつつ、この財布から大事な品をとりだし、うやうやしく有紀にさしだした。
有紀はそのチケットを受け取ると、じっとみつめた。写っているのは着物姿の二十歳くらいの女性演歌歌手だ。黒い目と日本髪、まじめな顔、痩せっぽちの体躯、化粧もきちんとしてある。まばたきもしないでカメラをみている。有紀の知らない顔だ。(正確には彼女はクラシック演奏家しか知らない)
チケットにはこう書いてある。……香西かおる演歌ショー!日付…今日だ。時刻……いまだ。もうコンサートは始まっているのだ。疑問の余地はない。美里は演歌ショーに遅れたので狼狽しているのだ。演歌に…。
「香西かおるのチケットとんの大変だったんだ。中年オヤジたちのアイドルだからさぁ。ぴあに何十回も電話してもなかなかつながんなくてさぁ…きっとオヤジ達が買い占めてたんだね。でも……いいでしょ?うらやましいでしょ?」美里が誇らしげにいった。
「あ、マズイ!もうこんな時間だよっ」突然、腕時計に視線をむけた美里が、慌てた声を出した。そしてバッと席から立ち上がった。「マズイよ、マズイよ、マズイよ!」
と周章狼狽してジダンダをふんだ。そして黙りこんでから「マズイよ、間に合わないよ」あえぎあえぎ言葉を出した。
「あ…あの……何に?」
美里がポケットに手を突っ込んで、財布をとりだした。別にブランドものじゃなくて、黒色の皮製の安物だ。美里は指先に細心の注意をこめて、やはり慌てふためきつつ、この財布から大事な品をとりだし、うやうやしく有紀にさしだした。
有紀はそのチケットを受け取ると、じっとみつめた。写っているのは着物姿の二十歳くらいの女性演歌歌手だ。黒い目と日本髪、まじめな顔、痩せっぽちの体躯、化粧もきちんとしてある。まばたきもしないでカメラをみている。有紀の知らない顔だ。(正確には彼女はクラシック演奏家しか知らない)
チケットにはこう書いてある。……香西かおる演歌ショー!日付…今日だ。時刻……いまだ。もうコンサートは始まっているのだ。疑問の余地はない。美里は演歌ショーに遅れたので狼狽しているのだ。演歌に…。
「香西かおるのチケットとんの大変だったんだ。中年オヤジたちのアイドルだからさぁ。ぴあに何十回も電話してもなかなかつながんなくてさぁ…きっとオヤジ達が買い占めてたんだね。でも……いいでしょ?うらやましいでしょ?」美里が誇らしげにいった。


