「そりゃあ至言だね」美里が笑った。「あたしは美里さ。美しい里って書く訳よ。名字は黄江(おうえ)っていうんだけど、ノーヴェル文学賞の大江健三郎とは字が違うね。残念」「黄江美里(おうえ・みさと)ちゃんかぁ」
「そうそう、美里ちゃん」じっと有紀の瞳をみつめたまま、美里は答えて微笑んだ。「でも美里って…どっかのロック歌手の名前に似てなくもないし……」
美里と有紀は黙りこくったが、彼女らにとっては相手が存在してないも同然だった。このふたりはかなり似ている。あまり話すのは好きじゃないし、冗談もぜんぜんパッとしない。”類は友を呼ぶ”とはまさにこのことだ。それが二人をさらに魅きつけた。
しばらくしてから美里がゲームに熱中しながら「そういやぁ、さぁっ。……その胸元で大事そうに抱いている犬は有紀ちゃんの?」
ほとんど藪から棒に苦しく尋ねた。
「えぇ。そうなのよ。このワンちゃんは私の大事なお友達なの」
「あぁ。やっぱり」美里は小声でいった。「やっぱり友達はその犬だけな訳ね?」
「……いいえ、違うわ。螢ちゃんと由香ちゃんっていう人間のお友達もいますもの」
「へぇーつ。いいじゃないか、有紀ちゃん」と美里はほめた。「昆虫とフローリングの友達?」
違います…。違います…。違います…。
「そういやあさぁ。…その犬って何食べんの?やっぱりメザシとかマタタビとか?」
やっぱりつまらない。しかし美里はかぎりなくピュア(純粋)である。
ある意味では無邪気・うぶ・純真…つまりナイーヴであるし、頭の違いがあるにしろ螢や由香と似てなくもない。あまり社交的ではないけど、家庭的で「お料理」は得意。”平凡なお母さん”になるタイプだ。きらきら地味に光るタイプだ。
「そうそう、美里ちゃん」じっと有紀の瞳をみつめたまま、美里は答えて微笑んだ。「でも美里って…どっかのロック歌手の名前に似てなくもないし……」
美里と有紀は黙りこくったが、彼女らにとっては相手が存在してないも同然だった。このふたりはかなり似ている。あまり話すのは好きじゃないし、冗談もぜんぜんパッとしない。”類は友を呼ぶ”とはまさにこのことだ。それが二人をさらに魅きつけた。
しばらくしてから美里がゲームに熱中しながら「そういやぁ、さぁっ。……その胸元で大事そうに抱いている犬は有紀ちゃんの?」
ほとんど藪から棒に苦しく尋ねた。
「えぇ。そうなのよ。このワンちゃんは私の大事なお友達なの」
「あぁ。やっぱり」美里は小声でいった。「やっぱり友達はその犬だけな訳ね?」
「……いいえ、違うわ。螢ちゃんと由香ちゃんっていう人間のお友達もいますもの」
「へぇーつ。いいじゃないか、有紀ちゃん」と美里はほめた。「昆虫とフローリングの友達?」
違います…。違います…。違います…。
「そういやあさぁ。…その犬って何食べんの?やっぱりメザシとかマタタビとか?」
やっぱりつまらない。しかし美里はかぎりなくピュア(純粋)である。
ある意味では無邪気・うぶ・純真…つまりナイーヴであるし、頭の違いがあるにしろ螢や由香と似てなくもない。あまり社交的ではないけど、家庭的で「お料理」は得意。”平凡なお母さん”になるタイプだ。きらきら地味に光るタイプだ。


