マジック・エンジェルほたる


「で、学問じゃなくなんだっていうんだ?」
「人生をうまく泳ぐ知恵、博愛の思考、多くの知識を有しているだけでなくて何がよくて何が悪いか迅速確実に判断して他人の痛みをも知る能力…これらを身につけているひとが知的レベルの高いひとです」
 知恵?博愛?何をいってるんだガキが!正気か?狂ってる?まったくガキときたら夢みたいなことばかり考えやがって!神保は有紀をギッと睨みつけた。
「私は先生みたいな偏見でしか学生をみないひと、判断しないひとは好きではありません。先生は学生たちを悪くいうけど……むしろ先生のほうがいろいろと悪いところがあるんじゃないでしょうか」
 神保は癇癪を起こすまいと必死にこらえた。このガキにやられているのがわかるだけに、癪にさわった。彼は子供に論破されるのは慣れてない。
「螢ちゃんたちがどんなに素晴らしいか、先生にはわからないんですか?」有紀は暗い表情のまま、熱心な口調で続けた。「ちゃんとみてあげれば、すばらしい才能があるってわかるはずです。そして、いつか輝かしい人になれるってわかるはずです」
 彼女の声が同情に和らいだ。「…とってもすばらしい大人に…女性に…人間に」
 神保は手のひらを突き出し、有紀をさえぎって、怒鳴った。