もう午後になっていて、有紀と由香と蛍の三人は仲良く下校時を並んで歩いていた。 時刻は何時なのかはっきりしない。どよどよと薄暗い雲が天空をつつむように漂ってきて、何かしら怪しげにも見える。怪しげ…というより、雨がふってきそうな天気であり雲行きである。そして、次の瞬間、当然のことのようにポツリポツリと雨粒が静かに落ちてきて、やがてざあざあと激しく降出してきた。しんとした冷たさだった。
「うわぁ。ちょっと、雨だなんて。お天気お姉さんの嘘つき!今日は雨降らないっていったじゃんよっ」当然、こんな品のない言葉を叫んだのは例の二人だ。
最悪の筋書きが現実の運びとなってしまっていた。でもたいして「最悪」ではない。単に、
「…やだよ、傘っ忘れちゃったよ!!」……だからだ。二人組はテレビのお天気お姉さんにひどく腹を立てていた。お天気お姉さんは約束したのだ。「とにかく、走って帰ろ!」
三人は鞄を傘がわりに頭上にかざして、茫然とした顔のまま駆け出した。角を曲り、通りを二つ走って、公園の近くまでやって来た。途中で一度だけ足を止めて、
「じゃあ、有紀ちゃん、また明日ね」
と由香と蛍は有紀にいった。そうして、二人は角を曲がって言った。ふたりと有紀ちゃんは帰る方角がちょっと違うのだ。


