マジック・エンジェルほたる


「うん。お名前は蛍ちゃんと由香ちゃんよ」
「それで?いっぱいいっぱい遊んだ?」
「えぇ。もちろんよ。いっぱいね」
「そう。お母さんはなんて?」
「………よかったね、お友達が出来て…って」
「…もう寝たらいいんじゃない?明日はお母さんのお弁当をつくったり朝食をつくったり…いろいろある訳だからね」ピエロは優しくいった。
「ねぇ、神様なんていないって思ってたけど、神様は本当にいるのかなぁ。神様が蛍ちゃんたちをつれてきてくれたのかなぁ」
「そうかもね。神様ってばやるわね」
「そうね。かなりやるわね」
 ピエロの頬にキスをしてから、有紀は優しくきらきらと微笑んだ。


  次の日、学校の図書館はほとんど誰の姿もなかった。時刻は正午過ぎの昼休み。
 有紀ちゃんはいつものように、大きなテーブルの隅っこの方に陣取って分厚い哲学書を熱心に読み耽っていた。
「ねぇ、ねぇ、有紀ちゃん」
 有紀が大きな瞳をきらきら輝かせて哲学書を読みふけっていると。背後からそんな声がした。彼女は振り返って、背後の二人組に、
「あらっ、蛍ちゃん、由香ちゃん、ごきげんよう」
 とニコリと微笑した。蛍はニヤリと、
「ねぇ、有紀ちゃん、探していた電話番号みつかった?」
「……え?この本は電話帳では…」
「相手にしなくていいわよ、有紀ちゃん。馬鹿蛍のつまんないギャグだから…」