……ピンポーン。
チャイムの音で我にかえる。
え~っと……とにかく、でなきゃ。
「は~い。今出ます。」
ガチャッ!
ドアを開けると、たった今、思い出していた人物が現われた。
……いや、ひょっとしたら『思い出す』は正しくない。
きっと、忘れたことなんてなかったから。
「……な、なんで……?」
「……駄目なんだよ。」
「え……?」
「雨が降るたびに、お前の顔が浮かんでくるんだ。お前は雨が好きだったな、なんてお前のこと思い出すんだ。嬉しくて。気がついたら雨が降る日が待ち遠しくなってた。」
「え……あの……。」
「……会いたくて。つい足が動いて。」
「……私たち、やり直せるの?」
「……また、俺を想ってくれる?必要としてくれる?」
私は首を何度も縦にふった。
……信じられない。涙が溢れた。