『・・・だから、俺が止めても・・・ダメだったのかも・・・な』

少し寂しそうな顔をする。

「昔、未紅が魂を人間に渡したときのこと?」

『そうだ。・・俺の気持ちが中途半端だって分かってたんだろう・・・だから生まれ変わっても俺のことは覚えていなかった・・・・。今の舜の様な気持ちだったら・・・きっと命を渡すことなんてしなかっただろうよ・・・』

中途半端な気持ち・・・か・・・。

「・・・それでも、聖夜に未紅のことを頼みたい・・・ダメだろうか?」

『・・・・』

「未紅は俺が魂になっていなくなったら・・・笑顔をなくしてしまうかもしれない・・・それが一番怖い・・・未紅の笑顔は最高だから・・・」

俺は未紅のあの素直な気持ちと屈託のない笑顔に惚れたんだ。

『・・・舜がいなくてはあの笑顔は出せないのではないか?』

「・・・まぁ、あの笑顔は俺のもんだからな。・・・でも、いずれ聖夜に向けられるときが来ると思う」

『俺に?』

「そう・・・未紅は好きになる気持ちを知った・・・またきっと好きな人が出来る・・・それが聖夜であってほしいって思ってるから・・」

『何故?』

「聖夜が見せてくれた過去で・・・未紅を大天使が助けたとき、聖夜もいただろ?」

『ああ』

「聖夜なりに未紅を大切に思ってることが分かった・・・悔しいけどこれから先未紅の側にいるのは俺じゃなくて・・・聖夜だから・・・・知らない奴と一緒になるくらいなら知ってる奴で・・・未紅の事を大切にしてくれる奴のほうがいいからさ」

『舜・・・どうして・・・』

「ん?」

『いや・・・』

「それで、これを渡しておきたい」

『これは・・・・』

「ピアス・・・未紅が片方の耳につけてる」

『どうしろ・・・と?』

「聖夜が未紅を守れる強さを・・・愛する気持ちが分かって、俺の言ってる事が分かったとき・・・それを付けて、未紅を守って欲しい」

『舜は何故・・・』

「ん?心配なんだ未紅が・・・正直聖夜がうらやましいよ・・・ずっと一緒にいることができるんだもんな・・・」

できれば代わって欲しいくらいだ・・・でもそれはムリだから・・・。