少し大きい声で呼ぶと未紅は俺を見る。

「これをお前に・・・」

俺は引き出しにしまってある箱からピアスを取り出す。

「これは・・・?」

「・・俺の誕生石が入ったピアス・・・元気になったらつけようと思って兄貴と純ちゃんに誕生日のお祝いに買ってもらったんだ」

そっと未紅の耳に触れる。

「1つ未紅の耳に付けてくれる?・・・俺が側にいられない代わりに・・・このピアスに思いを込めるから・・・」

少し悲しい顔をした後

「・・・うん」

そう言って未紅は耳に俺のピアスを付ける。

「フッ・・・似合ってる・・・」

未紅のおでこにそっとキスをした。

「!・・・っ・・」

不意打ちだったからビックリしたのか、おでこに手を当てて真っ赤な顔をしている。

「あはは・・・顔真っ赤だな・・・」

「だ、だって・・急に・・・」

俺はまた未紅を抱きしめた。

「ごめんな・・・残された美紅は辛いよな。美紅が俺がいないとって気持ちわかる。俺もそう思うから・・・・だけど俺は美紅に天使として生きていてほしい」

「舜・・・」

「そして、俺を思い出して泣いて欲しくない・・・沢山笑ったことを思い出して欲しいんだ。・・・俺、未紅と出会えて楽しかったよ」

本当に楽しかった。

「・・うん・・・うん・・・」

「・・強くて、優しい天使に・・・なってくれな」

「・・・うん」

未紅はそのまま泣いて、しばらくすると笑顔で言った。

「舜、ありがとう・・・ピアス大切にするね」

「・・・ああ・・」

俺は泣かなかった・・・泣きそうにはなったけど。

未紅に笑顔を覚えておいて欲しかったから・・・。



「未紅・・・お願いがあるんだけど」

「なに?」

「聖夜と話がしたい」

「聖夜さん?」

「うん・・・ムリ?」

「分からないから・・・聞いてみるね・・・」

「ああ、頼む」