いろいろ調べて・・・・結果私の命と引き換えに彼は生き続けられることが分かった。

寿命の長さは50年。

私はなんの迷いもなく彼に命を差し出そうとした。

でも、大天使様は大反対だった。

『人間に未紅の命を与えるなど・・・そんなことは許さん』

「未紅、考え直してくれ・・・お前は次の試練を乗り越えられれば大天使になれる・・・そして俺と・・・」

聖夜さんも必死に止めている。

でも私は・・・・

「ごめんなさい・・・聖夜と一緒になることも考えたわ・・・でもどうしても彼の命を助けたいの・・・あのすばらしい絵を・・・残してあげたい」

「未紅・・・」

「未紅様!」

皆の反対を押し切り私は彼に命を渡した。

・・・そして私は消滅したのだ・・・。



その後の彼の人生は・・・最低なものだった。

命が助かり最初は本当に素敵な絵を描いていた。

でも・・・スランプが彼を襲う・・・・酒におぼれ暴力沙汰・・・最後には人を刺し殺してしまった・・・・。

初めの頃彼の魂は本当に綺麗なものだった・・・でも最後彼が亡くなるときは・・・黒い汚いもに変わってしまっていた・・・・。


それを見ていた大天使様と聖夜さんが力を振り縛り・・・真っ黒くなった彼の魂からわずかに残っていた綺麗な魂を引っ張り出す・・・。

そのときに力を使ってしまった大天使様は大分年をとってしまわれたのだ・・・・。

取り出された魂のかけら・・・それを時間をかけて大天使様や他の天使たちが力を与え今の私が誕生した・・・・。

私は昔の記憶をすっかりなくし・・・1から天使の修行をはじめたのだ。



そこまでの記憶を見せると聖夜さんは私の額からそっと手を離す。

「未紅・・・お前は以前と同じ過ちを繰り返そうとしているのが分かるか?」

「・・・・」

「どんな思いで大天使様がお前のわずかな魂を取り出し育ててきたと思っている・・・未紅はこれを見ても・・・まだ沢田 舜に命を差し出すというのか?」

聖夜さんは本当に怖い顔をしていた。

・・・分からない・・・。

「未紅!」

私は聖夜さんから逃げ出すようにその場を離れた。


舜のところにも帰れなかった私は・・・・舜とデートをした海に来ていた。

聖夜さんが見せてくれたことが本当のことなら、私は同じことを繰り返そうとしているの?

それは私が犯した過去の過ち。

それを繰り返そうとしている?

だけど、絵描きの彼と舜は違う。

違うと思いたいだけ?

わからない。

何が本当で何が正しいのか‥‥。