8時15分。

桜花高校に向かっている途中の事であった。

周りにはたくさんの桜花高校の生徒達が、仲の良い友達同士などのいくつかグループをつくり学校へ向かっていた。

途中には見回りとして桜高の教職員たちがいくつかのポイントに立ち、やんちゃする子達に対して注意をしたり、車の注意を呼びかけたりしていた。

「但馬、ちょっとお前に頼みたいことがある」

そんな時、不意に言葉を発したのは、この話の恐らく主人公であろう三神健だ。

「ほぉー、俺に頼み事っていうのも珍しいなぁ、で?どしたん?」

と、いつものへらへらとした調子で但馬龍之介が答えた。

龍之介とは登下校を共にしていて、下校時に8割程の確立で遊びに誘われるらしい。

らしい、というのは話を聞いただけだからだ。

「頼み事って言うよりか・・・信じる?」

「うん?どういうこと?信じるも何もまだ話聞いてないから分からんよ」

「あぁ、うん、そうだな」

あぁ、どうしよう!!やっぱりちゃんと言った方がいいよね。

でも・・・正直こんな突拍子もない事言われたって信じないよね。普通。

あぁ、でもやっぱりぃ・・・どうしたらいいの?結城!!

「んで、だからどうした?なんか健、今日変だぞ?」

あぁ、なんか怪しまれてるしどうしよぉ・・・

でもこう言う事はちゃんと理解してもらう人も居たほうがいいよね!!

勝手に言っちゃうけど許してね、三神君!!

「実は俺、あ、私・・・野崎萌です」