Call My Name

『立宮 香』という表示が、液晶に大きくあった

俺は携帯を耳につけるなり、自然と視線が天井に向いた

「あ…もしもし?」

きっとツバキから、俺の怪我について、話がいっているのだろう

そう考えると、なんか兄貴を話をするのが恥ずかしかった

青族のチョーの座を奪っておきながら、青族の一員に殴られて怪我をしたなんて、『俺は馬鹿だ』と言っているような気がして、恥ずかしさがこみ上げてくる

『怪我は平気?』

兄貴のくそ優しい声が、俺の耳に心地よく入ってくる

いつだって、兄貴は優しい

ずるいよな

俺と喧嘩をしていても、俺がどんなに怒っていても、兄貴の口調は変わらずに優しいんだ

兄貴の心の広さには感服する

俺も、兄貴にみたいに心の広さが欲しいよ

「あ…ああ、まあ」

俺は曖昧に答える

平気っちゃあ…平気だ

死なないからな

でも痛いって言えば、痛い

『ナデシコちゃんと瑞那ちゃんの二人は、無事だよ。冬馬と菅原君が助けたから』

「あ、そ」

情けねえよな

組の跡取りの俺は、殴られて家にこもるだけのへっぽこで…何もできなかった

ただ、事を大きくしただけ

俺が動くことで…面倒臭くしただけだ