Call My Name

なんか…むず痒いな

俺は耳の後ろを掻くと、視線を上にした

褒められた…というか、悪口っぽくない言葉を面と向かって言われるのは照れる

しかも女子に言われるって、どう反応していいのか

正直、わからねえ

あ…いや、ツバキみたいなオトコ女に言われるなら、冗談っていうか…本気で言ってないってわかるから、「ふざけんな」とかって一言で返せるけど

スイレンは違うだろ

根がまじめで、なんか…か弱い女っていうか

一言一言に、気持ちがこもってて重みがあるんだよな

それにスイレンが仲良くしてるツバキは…昔から俺を知ってるし

ツバキは兄貴の恋人で、たまに家にいるし…

俺を知ってる唯一の女かもな、ツバキは

俺は横目でちらっとスイレンの姿を盗み見た

ところでなんでスイレンは、ここにいんだ?

腹が痛いなんて…明らかにうそだろ?

俺を追いかけてきた…とか言うなよ

俺は目の端に映るスイレンの白い膝小僧を見つめた

短いスカートで、足を抱えて座ったら、真正面から見たら……パンツが見えんじゃねえの?

俺はエロ本で見るような女の格好を想像しながら、自分のブレザーを脱いで、スイレンの膝にかけた

「立宮君?」

「腹が…痛いんだろ。温めておけ」

「ありがと」

スイレンがにっこりと笑いかけてくる

俺は頬が熱くなるのを感じながら、顔をスイレンからそむけた

言われない言葉を立て続けに聞いて、俺は気恥ずかしさで胸がそわそわした