Call My Name

もう…菅原から離れるなよ

好きな奴と一緒になれるなら、そのほうがいいんだから

その手を離すなよ

一人は孤独で苦しいだけだ

菅原が、俺の真横で足を止める

「青の族長になったからって図に乗るな」

菅原の低く小さな声に、俺は眼球を動かした

菅原を睨むように、鋭い目で見てやる

そうこなくっちゃ

俺を恨めよ

お前の大切な人間を奪おうとした俺に、敵対しろよ

俺はお前の怒りや恨みが欲しいよ

お前なら、俺を『景』として接してくれるだろ?

俺を『立宮 景』として恨んでくれるだろ

「赤がいる」

俺の睨みに動じることもなく、菅原は口を開くと、再び歩き出した

瑞那の肩を力強く抱きしめて歩く姿が、俺の目には輝いて見えた

好きな奴を好きだと言える勇気を、あいつは得られたのかもしれない

俺には言えない気持ちを、菅原は……言える人間になった

瑞那を好きだと言える男になった

羨ましいな

俺もいつかは…言える人間になるのだろうか?

他人の睨みを気にせずに、好きな奴に「好きだ」と言える日が…いつかはくるのだろうか

教室を出ていく菅原の背中を見送るなり、俺の周りにいた1年たちが悪口を言い始めた

ロクに菅原を知っているわけじゃねえのに、あーだこーだ言いやがる