Call My Name

ツバキとスイレンが、寮の門をくぐるのを見届けてから、兄貴が車を発進させた

「父さんから聞いたよ…随分と無理難題を押し付けられたみたいだね」

静かで穏やかな兄貴の声に、深い悲しみと深い負い目を感じてる思いが入り混じっているのがわかった

俺は後部座席で足を組むと、座席に全身を預けた

「暴走族の青と赤を潰せってやつ? 俺が弱いからだろ。力があるかどうか見たいだけだ」

兄貴が気にする必要なんてないのに

兄貴は、自分が教師になったことをたまに酷く後悔しているような顔をする

苦しそうに、行き場の感情を押し殺して、俺を悲しい瞳で見つめるんだ

わかってるよ

ちゃんと理解してる

兄貴の想いだってわかってるよ

「景は強いでしょ」

兄貴が自信を持って口にする

兄貴はわかってねえよ

俺は弱いんだよ

強くなんか、ないんだ

俺は自分の掌を見つめた

誰かを守るために、喧嘩をしたのは今日は初めてだった

スイレンがあんな低俗な男たちに触れられるのかと思ったら、身体が勝手に動いていた