Call My Name

兄貴の車が、学校の寮の近くで停車した

「着いたよ、ツバキ」

兄貴の優しい声がツバキに向く

「んなの…わかってるっつうの」

ツバキが冷たく言い放つ

俺は思わず後部座席で、口を緩めて笑ってしまう

素直じゃねえよなあ

せっかく彼氏に送ってもらったんだから、「ありがと」くらい言えっつうの

くっくっくと失笑していると、スイレンが無言で俺の小指を掴んだ

ぎゅっと強く握ってから、くいっと引っ張ってくる

俺は、スイレンのほうに視線を動かす

「やっと、こっち…見てくれた」

「え?」

スイレンが寂しそうに微笑む

もしかして、俺が見ないようにしてるのに気がついてるのか?

「今日はありがと」

スイレンの小さな口が動くのを、俺はじっと見つめた

ごくっと唾を飲み込むと、ぱっと視線を逸らした

な…なに、言ってんだよ

俺はかあっと熱くなる身体に、視線が定まらなくなる

「何もしてねえよ」

俺はぼそっと呟くように答えた