Call My Name

「信じらんないっ。男と肩がぶつかっただけで、階段から突き落とすか? フツ―」

助手席に座っているツバキが、大きな声で不機嫌な言葉を吐き出している

兄貴は苦笑してるだけで、何も口にしない

俺の隣に座っているスイレンは、真顔で俺の横顔をじっと見つめている

何か言いたそうな雰囲気だが…俺は敢えて知らないふりをつき通した

「突き落としちゃったんだから、いいだろ」

俺が窓から夜景を眺めながら、感情のない言葉を出す

「良くないだろ! 気絶だけで済んだからいいものの…怪我してたらどうすんだよ」

「無駄に頑丈な身体だったよな…あいつら」

スイレンやツバキに手を出そうしてたんだ…もう少し重症でも良かったのに

骨折とかすれば良かったんだ

しばらく店に来れないくらい…な

まあ、もうあのクラブには来ないか

「『無駄に…』って、弟…なに考えてんだよ」

「何も」

「考えろよ! 問題なったら、立宮先生も迷惑がかかるんだよっ」

「あ…そっか」

俺がまるで今、気付いたように呟いた

「お前なあ…」

わかってるよ

ツバキに言われなくても、わかってる

兄貴には迷惑をかけないよ

俺がいけないんだから