Call My Name

俺は2階から、ツバキとスイレンが降りてくるのを目の端で捉えた

「こら、待て! 弟っ、ナデシコのバイト先で問題を起こしてんじゃねえ」

ツバキが俺の背後で階段を降りながら、怒鳴っている声が聞こえる

俺は思わず吹き出してしまう

相変わらず友達想いの奴だ

素直な反応すぎて、面白い

俺はナデシコに、「言うなよ」と念を押してから、俺は足を前に踏み出した

片手をあげて、俺を見ているであろうツバキたちに手を振った

「逃げるな、弟! こらっ、言い訳しろっ。馬鹿っ」

ツバキの怒鳴り声を聞きながら、俺はクラブを後にした

店を出ると、ちょうど兄貴の車が駐車場に入ってきた

俺の真横で車を止めた兄貴が、窓を開けてにっこりと笑いかけてきた

「今日は、一緒に帰ろうか」

生徒に向けるのを同じ爽やかな笑みで、兄貴が俺に口を開く

「嫌だよ。ツバキがキレてんだ。同じ車に乗ったら、俺が殺される」

「今日は家に帰ろうよ」

兄貴が寂しそうな目で、俺を見る

俺は「ああ、もうっ」と髪を掻き毟ると、後部座席のドアを開けた

後ろに座席に座るなり、俺は腕を組む

「じゃあ、ここで待っててね。ツバキたちを迎えに行ってくるから」

穏やかな口調で言うと、兄貴は車から降りた

…たくっ、なんだかんだ言っても、俺は兄貴の笑みに弱いな