Call My Name

俺は立ちあがると、シャツを整えてから、ポケットに手を突っ込んだ

「じゃ、あとよろしくな」

「え? 上に行かないの?」

「帰るよ」

スイレンがいるからな

会ったら、たぶん…俺は俺を止められなくなりそうだ

スイレンを俺の色に染めたくない

「またこの人たちみたいなのが来たら?」

「携帯に連絡してくれれば、すぐに駆けつける」

俺は手首についている腕時計に目を落とした

「それに、そろそろ兄貴が迎えに来るだろ。ツバキがここに来る日は大抵、兄貴が送るらしいから」

俺は片手をあげると、歩き出した

「ちょっと、スイレンは?」

ナデシコに腕を掴まれて、ドアに向かう足を止められた

「はあ?」

「ツバキは立宮先生が送るかもしれないけど、スイレンは?」

「兄貴が一緒に送るだろ?」

「なんで?」

「は? だってツバキとスイレンの二人って、平日は寮生活なんだろ? 帰る場所は一緒じゃん」

ナデシコが少し不満そうに口を尖らせた