Call My Name

人が変わるきっかけって、些細な原因でも気持ちの問題で、変われるんだと思う

少しずつ絵具をまぜていくみたいに、変わっていくときと…風船が突然割れるみたいに、バンっと気持ちの変化が起こるときもある

クラブの2階から、見知った女たちの笑い声が聞こえてくる

ツバキとスイレンが、ダーツのコーナーで遊んでいるのだろう

俺は階段をのぼる足を止めると、両手をズボンのポケットに突っ込んで、半回転した

会わないほうがいい

学校の教室以外に、スイレンを見ちゃいけない気がする

俺は2階へとあがる階段に背を向けると、階段を降りはじめた

「マジ? 今日も来てんの?」

1階から2階へとあがろうとしている20代前半の男2人組みが、緩みきった顔から吐き出される言葉が耳に入ってきた

あ?

なんか、嫌だな…こいつらの顔が、気に入らねえ

俺の脳内で、黄色いシグナルが鳴る

『こいつらは危ない』

俺の脳内で点滅し始めるシグナルが、俺の全身の筋肉に電流を流してきた

指先がビリビリする

全神経が、男2人に向けられた

「あの子たちってどう見ても高校生だろ?」

「しょっちゅう、来てるよなあ」

「あのボーイッシュな子には弱そうな彼氏がいるみたいだけど、もう一人の子はフリーだぜ」

「マジで? 俺、ちょー好みのタイプ」

「あっちも弱そうな彼氏だしなあ」

俺の横を通り過ぎる様に、男たち2人がケラケラと馬鹿にしたような声をあげた

「今夜は、あの子たちとホテルにレッツゴーだな」

俺のシグナルが、赤に切り替わる

こいつらは、2階に辿りつく前に始末するべきだ