Call My Name

運命…サダメ…良い言葉だな

それがあるから、俺は逃げられないのだと思える

いや…逃げられないのだと思いこませることができるんだ

「兄貴はさ。強ぇよな。喧嘩はできなくても、精神的に強ぇんだ。何が大事なのか、知ってる。何を一番に守るべきなのかを、きちんと理解してんだ」

「お前だって気づき始めてるんじゃないのか?」

崎先生が俺の頭をポンポンと叩く

俺は崎先生の腕を払うと、首を左右に振った

「気付いてねえよ」

「うそつけ。自ら遠ざけてるくせに」

俺は隣に立っている崎先生の横顔を見た

先生は、手すりに腕を乗せて、校庭を眺めている

さらさらの前髪が、ふわりと揺れると、にやっと口元を緩めていた

「ツバキに、近づくなって言われてる」

「今のお前だからだろ」

「痛いねえ…その言葉」

俺は金髪をガシガシと掻き毟った

「お前みたいな奴には、心根がしっかした女が合ってんだよ」

崎先生が、にこっと笑って肩をバシっと叩いた

「どいつもこいつも…好き勝手言いやがって」

俺は鼻を鳴らす

だけど崎先生の言葉はすげー嬉しかった

でも駄目だ

あいつを巻き込みたくない

俺の世界に、あいつを引き摺りこみたくないんだ

遠くで見ているほうが……いい

俺にとっても、あいつにとっても…多分、それが最善の方法だと思う