Call My Name

「ツバキの前では吸わないで」

優しいトーンの声が、俺の背後でする

兄貴だ

俺が振り返ると、スーツ姿の兄貴がにっこりと微笑んで立っていた

「…というか、景には吸わないでほしいんだけどね」

兄貴が、俺のポケットから煙草の箱を没収した

慣れた手つきは、他の生徒にもこうやって煙草を没収しているからだろう

俺は、兄貴に笑顔を見せた

兄貴が俺の頭をぐしゃと毟りながら、撫でる

いや…だから、髪が乱れるっつうの

俺は兄貴の手が頭から離れると、乱れた髪の毛を整えた

「あのさ…お前が教えてくれた本屋って…あれ、スイレンの実家だったぞ」

「そうだよ。スイレンんちの売上に貢献してくれた?」

若干、ツバキの声のトーンがあがる

兄貴がいるからか?

少しは女らしい一面もあるんだな

「ああ、店番してて、びびった」

「スイレンは家族想いの良い子なんだ」

ツバキがそう言いながら俺の頬を思い切り抓った

「いててっ…何、すんだよ!」

「スイレンに何もしてないだろうな?」

「してねえよ! …てか、何で俺が抓られるんだよ」

「スイレンの可愛い顔を見た罰だ」

「んだよ、そりゃあ…意味がわからねえ」

俺はツバキの手首を叩き落とした

抓られた頬がジンジンと痛みを訴える