ざわつく教室の中で、俺の心もざわつく

遠巻きに俺を見て、俺の話をしているクラスメートの声が、痛いくらいに突き刺さってくる

聞きたくない

耳に入れたくない

俺は、俺であり……俺でしかない

勝手な俺を作ってほしくない

俺の声を聞け!

思わず怒鳴りたくなる

『次って、立宮先生の授業じゃん』

嬉しそうな女子の声が聞こえた

同じ血が流れてるのに、な

兄貴だって、ヤクザの子なんだぜ

なのに、兄貴は受け入れられて、俺は受け入れてもらえない

それって差別じゃねえ?

物腰柔らかな…まるで喧嘩なんてできませんってツラの兄貴は、学校の人気モノで…親父にそっくりの勝気な釣り目の俺は…近寄っただけで怪我をするって言われる

なんでこんな学校に来ちまったんだろ

…なんで、ここに兄貴が就職したんだろ…っつったほうがいいのか?

俺は席を立つ

それだけ、教室にいる奴らの会話が止まり、一斉に俺を見る

ふざけんなよ

立っただけだろ

いきなり殴ったりなんてしねえよ