Call My Name

「なあ…スイレン」

俺は見合い写真の前に突っ立った状態で、キッチンにいるスイレンに声をかける

もちろん、返事はしてくれない

まいったなあ

俺は首の後ろをガシガシと掻くと、コートを腕にかけたまま、眉間にしわを寄せた

こんなにスイレンが怒るとは思わなかった

いや…俺がきちんと話をしていなかったからいけなかったんだろうけど

ツバキもスイレンも、知らないんだ

兄貴が俺の見合いを許せなくて暴走したとは、知らない

ただスイレンと俺が付き合い初めたのを知って、組の将来を弟だけに任せるのは…と思って起こした行動だと、思っている

「俺もきちんと話さなかったのは悪いと思ってるけど…俺、別に見合いしたからって、スイレンと別れるとかって考えてないよ? 明日、見合いして、きちんと相手にほうに…」

「明日?」

スイレンが包丁を持ったまま、俺に振り返る

刃先がきらりと輝いて見えた

「あ…いや、ああっと明日…かな」

俺はさっと両手をあげると、コートがばさっと床の上に落ちた

刃物を持って、怖い顔すんなって…マジで焦るっつうの