Call My Name

「んじゃ、俺は…帰るわ」

「え?」

兄貴が驚いた顔をする

「一緒に夕飯くらい」

俺はポケットから携帯を出すと、未開封のメールを開く

『ナデシコのバイト先にいるね。夜、会えそうなら連絡ちょうだい』

スイレンからのメールだった

「おふくろがいるなら…夕食は遅くなるだろ? どうせ、親父と寝室に籠って出てこねえんだし。なら、ここに居ても、意味ねえだろ。また明日、改めて来るよ」

俺は家の門のほうへと歩き出した

「景っ!」

兄貴の呼びとめる声が背中を突き刺した

俺は足を止めると、顔だけを兄貴に向ける

「ありがと」

兄貴は深々と俺に頭を下げた

「いいって。今の生活…意外と嫌いじゃねえし」

俺は軽く手をあげると左右に振った

学校を退学して良かった

本当は、少し後悔もしてた

別に俺が家を継ぐなら、学業の成績など関係ない世界だから…退学とか、気にする必要はねえけど

それでもやっぱり、高校を卒業するくらいは…きちんとしておくべきだったかもしれないって思ってた

瑞那やナデシコに怖い思いをさせておいて、通い続ける自信はなかったけど…

退学ではなくて、違う学校に編入するという手を使ってでも、高校は卒業するべきだったのかもしれないって、不安に思う時期もあった

だけど今は、退学したのに後悔はしていない