Call My Name

こわっ

俺は鼻歌まじりにステップを踏みながら、屋敷に戻っていく母親の背中を見送った

「見合いはどうにかなりそうだね」

兄貴が嬉しそうな顔をした

「別に見合いくらいどうってことねえよ」

俺は肩幅に足を開くと、後頭部を掻いた

兄貴は、ふっと寂しそうな顔をすると、俺の後頭部の傷に触れる

「悲しむ人がいるってこと…忘れてない?」

兄貴の優しい声に、俺はぷっと笑った

「悲しむ人を忘れて暴走したのはどっちだよ」

俺の言葉に、兄貴が「あっ」と声をあげて、恥ずかしそうな表情になった

全く…人のことを指摘する前に、自分がとった行動を考えろっつうの

好きな奴を泣かせておいて、本当に別の女と結婚なんてできたのかよ

「母さんがいれば、オールオッケーだね。父さんは逆らえないから」

「っつうか、色仕掛けだろ」

「まあ、ね」

兄貴が苦笑する

「とんだ小悪魔を妻にしたもんだ」

「僕らの母親だよ?」

「あの人は子供2人も孕んだとはとても思えない」

「けど…確実に僕らは母さんの血を引いてると思うけど」

「兄貴は確実だな。おふくろと全く同じ顔をしてた」

あんな冷笑、親子じゃなきゃ真似できねえっつうの

怖い奴らだ