俺は額に手をあてると、深い深いため息をついた
「あいつが家を出て行ったって本当か?」
和服の裾を振り乱して、親父が草履で飛び出してきた
ダミ声が、玄関先に響くと、おふくろが「へ?」と振り返った
「…じゃないみたいです」
父親の部下が苦笑すると、親父が部下を拳で殴った
「ロクなことで私を呼ぶんじゃない! 馬鹿がっ」
頬を赤くしながら、親父がずかずかと大股で屋敷の中に入っていく
その背中を見て、俺と兄貴は目を合わせて笑った
「母さん、愛されてるね。この家に戻ってくれば?」
兄貴が肩を持ちあげて、笑った
「嫌よ。むさくるしいのよぉ。男の臭いばっかで…清々しさないの、ここは」
まあ、確かに
男所帯だからなあ、ここは
女はおふくろしかいねえし…だからって、別居ってどうかと思うけどな
可愛いよな、おふくろは
いつまで立っても、なんか…若いって思う
服のせいかもしれねえけど
「兄貴、見合いしないってさ」
俺がおふくろに話しかける
「そうなの? んじゃ、帰ろうっと」
「あ…待って!」
くるっと門のほうに足を向けるおふくろに兄貴が、母親の腕を掴んだ
「僕が見合いを断ると、景が見合いをすることになるんだ。でも…僕も景も…今は大切な女性がいるから…」
おふくろの視線があがる
にこっと笑うと、おふくろは兄貴の肩を叩いた
「あの人を、丸めこめばいいのね」
母親の冷笑に、俺の背筋が凍った
兄貴も、おふくろに負けず劣らずの冷笑を顔に浮かべている
…親子だ
こいつらは、間違いなく血がつながってるよ
「あいつが家を出て行ったって本当か?」
和服の裾を振り乱して、親父が草履で飛び出してきた
ダミ声が、玄関先に響くと、おふくろが「へ?」と振り返った
「…じゃないみたいです」
父親の部下が苦笑すると、親父が部下を拳で殴った
「ロクなことで私を呼ぶんじゃない! 馬鹿がっ」
頬を赤くしながら、親父がずかずかと大股で屋敷の中に入っていく
その背中を見て、俺と兄貴は目を合わせて笑った
「母さん、愛されてるね。この家に戻ってくれば?」
兄貴が肩を持ちあげて、笑った
「嫌よ。むさくるしいのよぉ。男の臭いばっかで…清々しさないの、ここは」
まあ、確かに
男所帯だからなあ、ここは
女はおふくろしかいねえし…だからって、別居ってどうかと思うけどな
可愛いよな、おふくろは
いつまで立っても、なんか…若いって思う
服のせいかもしれねえけど
「兄貴、見合いしないってさ」
俺がおふくろに話しかける
「そうなの? んじゃ、帰ろうっと」
「あ…待って!」
くるっと門のほうに足を向けるおふくろに兄貴が、母親の腕を掴んだ
「僕が見合いを断ると、景が見合いをすることになるんだ。でも…僕も景も…今は大切な女性がいるから…」
おふくろの視線があがる
にこっと笑うと、おふくろは兄貴の肩を叩いた
「あの人を、丸めこめばいいのね」
母親の冷笑に、俺の背筋が凍った
兄貴も、おふくろに負けず劣らずの冷笑を顔に浮かべている
…親子だ
こいつらは、間違いなく血がつながってるよ

