俺はぼけーっと黒い印字の文字を眺めていると、歌い終わったばかりのクラスの女子が隣にどすんと座ってきた

女だろ?

もう少し静かに尻を落とせないのかよ…なんて思っていると、女が俺の腕に絡みついてきた

ああ? なんだよ

俺は今、曲を選んでるんだよ…てか、ここにいて、かれこれ2時間過ぎるけど…俺はまだ1曲も歌えてねえんだよ

…てか、歌える歌がねえんだよ

ああ、『おかあさんといっしょ』で流れてる曲なら、歌えんだけどなあ

「ねえ、カラオケ嫌い?」

「いや…嫌いじゃねえけど」

女の手が俺の太ももに置かれる

俺は女の顔をちらっと見てから、また本に目を戻した

別に…いいや

女もどうせ遊びだろ

俺が本気で好きってわけじゃねえな

このタイミングで、触れてきて…甘い声で俺を誘う

慣れてる、こんなの

嫌ってほど、俺は遊びたがる女の仕草を見てきた