教室の隙間という隙間から、クラスの奴らが驚いた目で俺を見ていた

「あ……やべっ」

俺は口に手をあてると、ぷいっと横を向いた

崩れた…俺のイメージが

俺の演じた『ヤクザの子供』という皮がはがれた瞬間、俺はとてつもなく恥ずかしい衝動にかられた

「で? スイレンに…」

ツバキが小声で聞いてくる

「何もしてねえよ」

「本当か?」

「信じらんねえなら、聞けばいいだろ」

「お前はあっさりと嘘を吐くから信じられん」

「信じてねえなら、最初から俺に聞くなよ」

俺は、ツバキから離れると教室内に戻った

好奇な目にさらされる

ツバキとのやり取り、すっかり俺の性格が壊れた

別にいいけど…なんか、恥ずかしいんだよ

『立宮弟』は意外と怖くないらしい…そんなうわさが流れるようになるのは、数時間後のことだった

怖くない…って、どうなんだよ

将来、組を背負っていく人間に、怖さを感じないってどうかと思うよ、俺はっ