Call My Name

「お帰りなさいませ、おじょ……ああ?」

バイト中に菅原のひっくーい声が聞こえてきた

声のトーンが一気に下がり、レジの下の棚の中を整理していた俺は、どうしたものかと立ちあがった

「レン?」

バイト中の源氏名で菅原を呼びながら、俺は客のほうに視線を向けた

見覚えのある顔の集団が、レンの前に立っていた

「弟もここでバイトしてんのか?」

ツバキがひどく驚いた表情で、俺の顔を指でさしてきた

「ああん?」

俺が顔を歪めると、頬の筋肉がひくひくと痙攣した

「瑞那ちゃんが、一度でいいから菅原君のバイト先を見てみたいって言うから…」

ナデシコがふんわりした笑顔で、微笑み、瑞那の両肩をポンと叩いた

「…てか、ツバキは部活じゃねえのかよ」

「バレンタインだし、休み」

「はあ? 意味わかんねえーよ」

「午後から、…うからいいんだよ」

「あ? 聞こえねーよ」

「午後から、立宮と会うんだよ」

「素直じゃねえなあ。手作りチョコをあげたいんで、デートをするんですぅ…くらい可愛く言えねえのかよ」

俺の言葉に顔を真っ赤にしたツバキが、俺の後頭部をガツンと殴った