私は撃っていた

見張り役の男に助けてもらいながら

目の前の方で崩れた偽りの恋人…

目の前には熱い拳銃

そこに重なる2つの手

1つは私。

1つは見張り役の男で、さっきまで不機嫌だった、私の恋人。

重ねた手に、至近距離に緊張感がある。

ドキドキする。

ちらっと視線を送ると

「…お前が撃ったんだ。これでお前は俺のモノに心置きなくなれるわけだ」

私を見ないで言うこの人は本当に私の恋人?

私は急に可笑しくなって笑った

変な女

彼が呟きながら私から離れた

「ありがとう」

「…ヘマされて、攻撃されんのはお前だけじゃねぇ、見張り役の俺もだ」

チッと舌打ちしながらまた不機嫌そうに言った

なんだか素直に口にした言葉に可愛くない返事が帰ってきた

いや、可愛かったら変か。

見張り役が本部に連絡する

「終わった。後よろしく」

ピッと携帯が切れる

「帰るぞ…」

歩き出したコイツの背中を見ながら私は思った。

あの時、

あの人を撃ったとき、

私はあの人越しに“自分”を撃ったのだ。
この業界に足を踏み入れるのに戸惑っていた私だ。

でも、