怖かったんです。




貴方にとっての自分という存在の脆さに気付いていたから。




小さくつついただけで、一瞬にして粉々に崩れてしまう。




貴方がそれに気付くまでは傍に居られると、

綻びには気付かない振りで、
先延ばしにした私も、現実から逃げてばかりでズルかった。




桜が咲く今頃は貴方との日々を鮮明に思い出す。




一緒に桜を眺めた記憶はないけれど、あの時




「桜が咲いたらお花見しよう」


と言ってくれたから。




今年もあそこの桜は満開の花を見せてくれるでしょう。