これから起こり得る事を案じてはいても、考えが及ばなかった。




だって現に彼は私の目には何ら問題なく見えてたし、




賢くて、



優しくて、



何より私を大切に想ってくれてた。




彼が言うように、何時か病気があらわれて私を酷く傷つける時が来るなんて、

どうしても思えなかった。





あの時に別れを選べたら、苦悩せずに済んだの?





どんなに深刻な病だとしても、病気を理由に運命とも思えるほど心がふるえる相手と離れられる?






彼のズルさも判ってた。