初恋タイムスリップ【完】

「そうだったの。

私は、娘がいないから美音ちゃんのお母さんの本当の気持ちがわからないけど、昔は優しかったんでしょ？」


「優しかったです。でも変わってしまって」


「お母さん、今つらい時期なのかもしれないわね。
私も優の事で本当につらい時期があったの。
良に八つ当たりしてしまった事もあったわ。

八つ当たりしながら、こんな事しちゃいけないってわかっていた。わかっていながらやってしまうの。
それだけ精神状態が悪いのね。

後ですごく後悔するの。ごめんね、良って。

私は謝ったわ。

美音ちゃんのお母さんもきっと苦しんでいるはず。そして後悔もしているはずよ。
つらいかもしれないけど美音ちゃんとお母さんが親子になったことには必ず意味があるわ。

私に大事な話しをしてくれてありがとう。

頼りないかもしれないけど、またなんでも話してね」



「お母さん…」


涙がでた。私のお母さんがこんな人だったら、

こんなに優しい人だったら

そう思うと泣けてきた。


成海くんのお母さんがそっと私の頭をなでた。

「大丈夫。

美音ちゃんがこんなに優しい子に育っているんだから。信じようね」

成海くんのお母さんは微笑みながら

私が泣き止むまで頭をずっとなでてくれた。





リビングに成海くんと優くんが戻ってきた。

「のど、かあいた−！」

優くんが大きな声で言った。

「はいはい」

成海くんのお母さんが冷たいお茶を持ってきた。


成海くんと優くん、競争するかのように一気にお茶を飲み干した。


「部屋いくか？」


え…………



「美音ちゃん。良が変なことしたら、大声だすのよ！私飛んでいくから！」


「母さん！」


「なんてね。冗談よ！」



私は飲んでいたお茶を片付けて、2階へと階段を上った。


後ろから優くんがついてきた。


すると成海くんのお母さんが優くんを抱きかかえて、暴れる優くんをつれてリビングへ戻っていった。



成海くんの部屋はとても広くて、シンプルな部屋だった。