初恋タイムスリップ【完】

過度のストレスで、成海くんが倒れた…


「それからは

『我慢しないで思っていることはなんでも言っていいんだよ。』って

良にいつも言うようにしたわ。

良との会話を大事にして
なんでも話していいんだって良に思ってもらえるように気をつけたの。

だから美音ちゃんの事も話してくれたのね。

すごくうれしかったわ。

好きな女の子なんて初めてだったから」


そんなことがあったなんて

成海くん


私は外で優くんと遊んでいる成海くんを見た。

いつも優しくて、

いつも

『なんでも言えよ』

って…だから…

だから
なんでも言えよって
いつも私に言ったんだ。

成海くんがお母さんに言われた言葉だったんだ！


私はお茶を持つ手が震えた。


「美音ちゃん。私ね。

最初、どうして私の子供の耳が聞こえないのってすごく自分の人生を憎んだの。

周りのお友達が健康な赤ちゃんを産んだことを素直に喜べなかったり、

よく芸能人が赤ちゃん産むと『母子共に健康』っていうでしょ？

なんかその言葉を聞くたびに腹がたったりしてたの。

でもね、耳が聞こえない優が私の元に生まれてきたことで、
たくさんの事を学んだし、たくさんの事に気づいたの。

言葉を教える難しさ、

周りの人の優しさ、

支え、

聞こえにくい世界がどんなに大変なのか、

目に見えない障害を持った人が
なかなか理解されにくいということ。


それと、

１番は、


良がこんなに優しい子供だった事。


私の元に優が生まれてきたことには

必ず意味があるんだって思うようになったの。


私は良と優の母親になれてよかったって思ってる。

って


なんだか長く語ってしまったわね。

美音ちゃんの家族は何人なの？」


「うちは…3人です」


私は思い切って、自分のお母さんの話しをした。