「良を好きになってくれてありがとう」
お母さんは自分にもお茶を入れながらそう言った。
「優の耳のことは聞いた?」
「はい…少しだけ」
お母さんはゆっくりお茶を飲んだ。
「優が生後10ヶ月の時に耳が聞こえていないかも…って健診の時に言われたの。
その時ね、目の前が真っ暗じゃなくて、真っ白になったのよ」
お母さんはふふっと笑った。
外では優くんがブランコに乗って、成海くんが背中を押してあげていた。
「その時、良は4年生だったの。それまで一人っ子だったでしょ。
急に弟ができて、みんなの注目が全て弟に向いて、更に耳の事でみんなが優を心配してね。
良からしたら突然に家族を弟に取られた…ていう感じだったと思うの」
お母さんは外を眺めながら話し続けた。
「私はね、優の耳が本当は聞こえるんじゃないかって、何箇所も病院を回ったの。
でも答えはみんな同じ。
それもほとんど聞こえていない高度難聴だって言われてね。
家に帰ってずっと泣いていたわ。
10ヶ月間、話しかけたことも、子守唄も全部…全部聞こえていなかったんだって。
優には一生私の声が聞こえないんだって。
無邪気に笑っている優を見ると切なさと、ちゃんとした耳を私のお腹で作ってあげられなかった申し訳なさで…
どうしても涙がでてしまったの。
その時ね。
泣いている私に良が
『お母さん、一緒に頑張ろう。』って言ってくれたのよ。
本当はさみしかったろうにね。一人で留守番ばかりさせていたし。
でもね、すごく優の事をかわいがってくれたのよ。
初めて補聴器をつけた時
良が『優の耳、かっこいいね』って優にいってたの。
たくさん話しかける事が大事なんだっていったら
良は学校から帰ると優にたくさん本を読んでくれたわ。
いろんな物を見せて言葉も教えていたわ。
でもね、優から言葉がなかなかでなかったの」
そんな
成海くんにそんな過去があったなんて、知らなかった…
お母さんは自分にもお茶を入れながらそう言った。
「優の耳のことは聞いた?」
「はい…少しだけ」
お母さんはゆっくりお茶を飲んだ。
「優が生後10ヶ月の時に耳が聞こえていないかも…って健診の時に言われたの。
その時ね、目の前が真っ暗じゃなくて、真っ白になったのよ」
お母さんはふふっと笑った。
外では優くんがブランコに乗って、成海くんが背中を押してあげていた。
「その時、良は4年生だったの。それまで一人っ子だったでしょ。
急に弟ができて、みんなの注目が全て弟に向いて、更に耳の事でみんなが優を心配してね。
良からしたら突然に家族を弟に取られた…ていう感じだったと思うの」
お母さんは外を眺めながら話し続けた。
「私はね、優の耳が本当は聞こえるんじゃないかって、何箇所も病院を回ったの。
でも答えはみんな同じ。
それもほとんど聞こえていない高度難聴だって言われてね。
家に帰ってずっと泣いていたわ。
10ヶ月間、話しかけたことも、子守唄も全部…全部聞こえていなかったんだって。
優には一生私の声が聞こえないんだって。
無邪気に笑っている優を見ると切なさと、ちゃんとした耳を私のお腹で作ってあげられなかった申し訳なさで…
どうしても涙がでてしまったの。
その時ね。
泣いている私に良が
『お母さん、一緒に頑張ろう。』って言ってくれたのよ。
本当はさみしかったろうにね。一人で留守番ばかりさせていたし。
でもね、すごく優の事をかわいがってくれたのよ。
初めて補聴器をつけた時
良が『優の耳、かっこいいね』って優にいってたの。
たくさん話しかける事が大事なんだっていったら
良は学校から帰ると優にたくさん本を読んでくれたわ。
いろんな物を見せて言葉も教えていたわ。
でもね、優から言葉がなかなかでなかったの」
そんな
成海くんにそんな過去があったなんて、知らなかった…



