初恋タイムスリップ【完】

「ほら、ご飯!

優!

おもちゃを


片付けなさい!


良はテ−ブル拭いてお皿とか並べて」


優くんはおもちゃの電車を片付け始めた。

かわいいな…


髪の毛が長めだったからわからなかったけど、髪の隙間から耳に機械がついているのが見えた。

私はスパゲティーの入った大皿をテ−ブルにおいた。


「美音ちゃん。遠慮してたら、良と優に全部食べられちゃうからね。
こら!

優!


いっぱいとりすぎ!

ぜ〜んぶ

食べられるの?」


優くんは両手を合わせて

「たえう(たべる)!」


と言ってガツガツたべだした。


成海くんもガッツリ取っている。

「美音も自分で食べられるだけとりな」


成海くん、私によそってしまうと全部たべなくちゃいけないと思わせてしまうから、気をつかってくれているんだ。


「おいち〜!」


優くんが大きな声で言った。

優くんの口のまわりはタラコのつぶつぶと海苔でベタベタだ。かわいい〜!



みんな笑って…


楽しい食事だった。


中学の頃は辛い食事。

お母さんがいなくなってからはお父さんと二人きりの食事。

お父さんとの食事ももちろん楽しいけど、人数が増えると…家族って感じがして…


なんだか温かい……



食事が終わって優くんと成海くんはリビングから続く広い庭で遊びだした。

砂場もブランコもあるんだ…すごいなぁ…お父さん何している人なんだろう。

私は成海くんのお母さんと後片付けをした。

「美音ちゃん。お茶にしよ」

お母さんはテ−ブルを拭いてお茶セットをおいた。


「美音ちゃんは良のどこが好き?」


お母さんはお茶を入れながらニコニコ笑って聞いてきた。


えっと…最初はかっこいいなぁと思って、一緒にいると、すごく優しくて…



「優しいところが…好きです」



お母さんはまた笑って私の前にお茶をおいた。